山、駐車場、畑や田んぼのあぜ道、はたまたお庭。
緑地のあるところのどこでも生えてくる雑草。
「面倒くさいけど、雑草ぐらいなら自分で・・・!」
とDIYで作業しようか、業者に依頼しようかとお悩みの方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、造園・庭師から見た雑草刈りとDIYの作業のメリット・デメリットについて解説したいと思います。
- ■目次
- ①雑草刈りをしないとどうなるの?
- ・草刈りをせずにいた場合のデメリット
1.害虫・害獣被害
2.防犯上の危険性 - ・草刈りをした場合のメリット
- ②雑草刈りって、何から始めるの?時期は?
- ・草刈りに適した時期はいつ?
- ・草刈りでは何が必要なの?
- ③いざ草刈り!何をするの?コツは?
- ・安全作業をするポイントは?
- ・草刈りって何をするの?
- ④業者に頼むと金額はいくらするの?
- ⑤自分でやる or 業者に頼む メリットとデメリット
- ⑥まとめ
①雑草刈りをしないとどうなるの?
そもそも雑草刈りはなぜ必要なのか?
放置しているとどうなってしまうのか?
草刈りをせずに放置していると、もちろん雑草がどんどん育っていきます。中には人の伸長よりも大きく育つような雑草もあり、雑草が生えている場所の視界が悪くなります。
また、元々その場所に自生してはいなかったけど、鳥などが運んできた樹木の種が発芽し、雑草だけでなく木が生えてきてしまう、ということもあります。その木をしばらく放置しておくと、なかなかご自身の作業では手に負えないほどの大きさに育ってしまうというケースもたくさんあります。
それでは、上記のようなことを踏まえて、草刈りをするに当たってのメリットとデメリットとはなんでしょうか?
【草刈りをしなかった場合のデメリット】
1.害虫・害獣被害の発生。
雑草・雑木が生い茂ると、そこは人間以外の生き物にとっては住みやすい環境となります。
蛇、毒を持つ蛾や毛虫、蜂、イノシシ、タヌキその他にもたくさん住み着きます。私が作業させて頂いた現場でも、民家から15メートルくらい離れた茂みからイノシシの寝床と思われるものが出てきたり、はたまたイノシシの死骸が出てきたこともあります…。
雑草が生い茂るとイノシシは意外にも人の居住エリアの近くまで迫ってきます。
中でも一番怖いのが、「蜂(ハチ)」です!
実は雑草の中にも蜂が巣を作ることがあります。何かの拍子の興奮させてしまい、蜂の刺されるなどの被害も発生する危険性があります。テレビでも良く見ますが、蜂に刺されると最悪の場合、アナフィラキシーショックを起こし、命を落としてしまうこともあります。
2.防犯上の危険性の発生。
雑草や雑木が大量に生い茂ると、周囲の目隠しとなってしまいます。その結果何が起きるかというと、泥棒が侵入し易い状態になるなど、犯罪が起こり易い状態になります。
また、「火災」の起きる原因にもなります。なぜかというと、秋以降の雑草はカラカラに乾いたような水分気のない物が多く、そこにタバコのポイ捨てなど、火の気の物が投入されると、驚くほど速く、あっという間に燃え広がります。
3.近隣住民への被害
⑴と⑵で記載した害虫害獣被害や防犯面のことが直接近隣住民の方への被害になり得ます。
また、ブタクサやイネ科の植物のアレルギー症状を引き起こす原因にもなり、アレルギー体質の方が多い昨今では、かなりデリケートな問題とも言えます。
【草刈りをした場合のメリット】
草刈りをした場合のメリットとしては、簡単に申し上げますと、上記で記載した危険性が解消されます!害虫や害獣も住まなくなり、蜂やイノシシに遭遇する可能性がなくなります!
防犯面でも、視界が綺麗に確保され人の目が付くようになることにより、事件性のある様な事態が回避されるようになります。
また、アレルギー性のある植物を生やさないようにすることで、近隣住民の方へのアレルギー被害も未然に防ぐことができます。
上記のメリットとデメリットを考慮すると、雑草や雑木は放置せずに草刈りを行い、緑地を綺麗に保っておくほうが良いと考えられます。
②雑草刈りって、何から始めるの?時期は?
いざ草刈りをするにも、何から取り掛かればいいのでしょうか?
ここでは、草刈りに適した時期やアイテムなど草刈りをする前の準備を紹介していきます。
■草刈りに適した時期はいつ?
草刈りは1年に3回行うのが良いとされています。
6~7月(初夏)と9~10月(秋口)と11~12月(晩秋)です。
※いずれの時期もとても暑いシーズンです。熱中症には十分にお気を付けください。プロでもしっかり休憩を入れながら作業するシーズンです。
雑草の生える環境や成長するスピードによっては3回行わないで良い場所ももちろんあると思います。
なので、タイミングとしては「伸びてきたら刈る」というのがよいのではないかと思います。
目安としては膝下くらいまで伸びてくるようであれば刈り時ではないでしょうか。
以降でも触れていきますが、あまりに雑草が伸びすぎると、刈るのも大変になれば、業者に委託した際の雑草の処分費も増していきます。あまり良いことはありません。
■草刈りでは何が必要なの?
1.服装
基本は長そで・長ズボン。雑草で切り傷が付いたり、虫に刺されたりすることから守ってくれます。
足元は長靴。雑草の中には蛇が潜んでいる危険性があります。また伸び切った草むらの中には何が潜んでいるかわからないので、しっかり足元を守ってくれる長靴が最適です。 また雑草が生えている場所が法面である場合は、足袋やスパイク靴で作業するのも良いでしょう。
▶足袋…¥3,000~¥6,000
▶スパイク靴…¥4,000~¥10,000
ほどで、販売されています。
2.身の回りのアイテム
草刈り機、燃料、オイル、燃料用の携行缶、肩ベルト、防護メガネ、フェイスガード、防振手袋。
掃除道具(熊手、塵取り、シート、ほうき、フォーク、ブロアーetc.)
草刈り機を使用すると刃の回転によって飛散物(小石、小枝、草の芯など)が周囲に飛び散ります。
草刈り機の小型エンジンで回している刃が弾く物なので、優しく飛ぶのではなく、凄く勢いよく飛びます。
特に気を付けて頂きたいのは、顔周りです。
小石や小枝などが目に入ったら、視力を悪くするなど、最悪の場合失明の危険性もあります。
草刈り機を使用する場合は必ず防護メガネを使用してください。
また、草刈り機は振動工具なので、長時間使用される場合には、手に伝わる振動を軽減してくれる手袋を使用することをお勧めします。
小さな振動でも体に掛かる負荷は大きいので、防振手袋の有無では疲労の蓄積の仕方が違います。
草刈り機を使用する場合は、草刈り機用の肩掛けストラップもお忘れなく。法面などで転倒した場合に草刈り機の回転している刃が自分に当たることを防いでくれます。良い物を選べば、体への負担を軽減して腰痛の予防にもなります。
▶草刈り機…¥10,000~¥40,000ほど
▶草刈り刃…¥300~¥2,500ほど
▶肩ベルト…¥1,000~¥7,000ほど
▶防護メガネ…¥800~¥2,500ほど
▶防振手袋…¥800~¥3,000ほど
▶携行缶…¥2,000~¥10,000ほど
で販売されています。
燃料については、オイルと混ぜる必要がありますが、ホームセンターにいけばすでにオイルと燃料を混ぜ合わせた物が販売されています。少し割高です。燃料を購入する際は、ガソリンスタンドで必ず金属製の携行缶に給油して購入しなければなりません。昨今では、某放火事件などの影響によって、ガソリンスタンドでも携行缶に給油できないところが増えてしまいました…。定期的にご自身で草刈りをしたい方は、携行缶に給油してくれるガソリンスタンドを探しておくと便利です。
③いざ草刈り!何をするの?コツは?
さぁ、いざ草刈りスタートです。
気を付けることはまず第一に「安全に作業すること」です。個人的にはこれが一番です。
プロでもケガをしたり、何かを破損させたり、事故を起こしていては問題外です。
安全対策をしっかり行い、効率よく作業することが重要になると思います。
■安全作業をするポイントは?
草刈り機を使用している際に、実際はどういったことに気を付ければよいのか。
1.草刈り機を使用している人は、十分に人、物との距離を取ること。
→草刈り機の刃の切れ味は抜群です。直径5~8㎝くらいの木であれば軽く切れます。
2.刃の回転による飛散物(小石、小枝etc)があることを認識すること。
→飛散した小石などが窓ガラスなどに当たり割ってしまうことがあります。
→通行人に飛散物が直撃してケガを負わせることもあります。
3.草刈り機を持って移動する際には必ずエンジンを停止させること。
→エンジンが動いている間に移動すると、思わぬところで人や建物への接触を起こすことがあります。
4.刃の回転によるキックバック。
→回転している刃が固い物に触れたとき、接触した角度によってはキックバックを起こす可能性があります。
→キックバックを起こし、刃が他の作業者などに当たり大事故になることがあります。
※キックバック…回転している刃が固い物などに触れたときに、草刈り機が思わぬ方向に跳ね返る現象。
■草刈りって何をするの?
文字通り、草刈り機などを使って草を刈るわけですが、草刈りの過程としては以下の通りです。
▶STEP1…草刈り機などを使用して草を刈る。
↓
▶STEP2…掃除道具を使用して、刈った草を集める。
↓
▶STEP3…集めた草を処分する。
草刈り機を使用して草刈りをするのももちろん体力を使いますが、その後の清掃の方が意外と重労働だったりもします。刈って集めた草は意外と重く、移動させるにもかなり力が必要になります。
ご自身で刈った草を処分するにはいろいろな方法がありますが、各自治体の指定のゴミ袋に詰める人もいるようです。
確かにその方法であればゴミ袋代だけで済むので、かなり経済的です。ですが、植物によっては茎の部分で袋を破ってしまったりと、草を詰めるのはなかなか手間がかかります。
ちなみに、刈った草を敢えてそのまま放置する!という選択肢もあります。
もちろん最終的には自然に戻って行きますが、実はかなり時間がかかります。その間は枯れた草が放置されている状態なので、視覚的にはあまりお勧めできません。
また、枯れた草の下は生き物にとって過ごしやすい場所。蛇が侵入することもあるので要注意です。
草を刈るときのコツとしては、刈った草が刈ってない草の上に被らないようにすることです。
一定の方向へ刈り進めて行けば被らないように刈り進めることができます。
草が被ってしまうことにより、どこが刈ってあって、どこが刈れてないのかの判別が付きにくくなり、無駄な動きが増えてしまう原因になります。
④造園業者に頼むと金額はいくらするの?
気になる業者に依頼したときの料金のお話です。
業者によって見積の作り方はいろいろですが、簡単にお伝えすると以下のスタイルが多いようです。
⑴敷地の大きさ(¥350~/坪)+ 各種オプション
→例) 15坪×¥350=¥5,250+オプション
⑵時間拘束(¥2,500~/時間)+ 各種オプション
→例) 3時間拘束=¥7,500+オプション
※上記の料金体系は飽くまでも相場であり、一例です
正直に言うと造園業者によって値段体系はさまざまです。
ちなみに当方は¥110~/平米からの敷地の大きさによって見積を作成致します。
各種オプションとは、ゴミの処理代、除草剤の散布、手取り除草など各業者によって取り揃えているものは多様です。最近では、業者に見積を作成するときに、敷地の広さと写真情報を頂ければ見積を作るところも多くあります。また、年間管理を依頼したい!という方も多いようで、年間管理であれば、上記の値段からも多少の割引が効いてくる場合もあります。
⑤自分でやる or 業者に頼む メリットとデメリット
ここまで草刈りについての注意点、相場など解説してきましたが、実際に自分で草刈りするのと業者に依頼するのとどちらが良いのでしょうか?
メリットとデメリットを挙げてみたいと思います。
【自分でやるメリット】
→最初の道具などの初期投資さえすれば、草刈りを完了するまでのランニングコストは低い。
→ご自身のお好きなタイミングで作業できる。
【自分でやるデメリット】
→体力的にとてもハード。
→体力と力仕事なのでケガの可能性有り(腰痛など)。
→使用するアイテムを保管する必要がある。
→単純に疲れる。
→ご自身の一人作業だと短時間ではなかなか終わらない。
→ゴミの処理に苦労する。
→虫に刺される(特に夏場は蚊の被害が多い)。
→むやみに草刈り機を使用すると、ガラスを破損させたり、他人をケガさせる危険性がある。
【造園業者に依頼するメリット】
→時間を取られない。
→体力仕事をしなくて済む。
→害虫や害獣に遭遇しない。
→豊富な経験知で安全作業を行う。いざという時に損害保険に入っている業者だとより心強い。
→作業がスピーディ。
→自分でやるデメリットで挙がった事柄が解消される。
【業者に依頼するデメリット】
→ご自身で作業するよりランニングコストがかかる。
→業者の作業できる日程を合わす必要がある。
⑥まとめ
造園業者として草刈りをしている私の身の回りにも、ご自身で草刈りをしている方は大勢いらっしゃいます。
普段は会社勤務、休日は草刈り機を持って外で汗をかくのも良いことだと思います。そして何より個人的には草刈りは楽しいです! 自分の草刈りした場所を振り返ってみるとどんどん綺麗になって行くのがわかります!
ですが、上でも記載した様に、安全作業をしてケガをしないことが一番の大切なポイントだと思います。ランニングコストが掛かったとしても、安全作業に日頃から取り組んでいる業者に依頼して頂くことも良いのではないでしょうか。